私は冷蔵庫から買い置きした発泡酒の缶を取り出して、これを立て続けに飲んでいた。
彼女の部屋で日本酒を飲んでいたのだが、全く酔えなかったのだ。

夜の12時を回った頃に携帯が鳴った。
最近はもう電話が鳴ることが恐ろしくてならないのだが、表示を見ると彼女からだった。

「課長、彼に一体何をしたの?」

正直に話すべきか逡巡した。

「彼、さっき電話してきたの。もう別れようって。私、彼がいなかったら生きていけないって思ってるのに、もうどうしていいかわからなくて。」
「いいじゃないか。君には部長だっているだろう。部長は未婚だぞ。」
「彼に何をしたの!」
「何もしちゃいないさ。」
「嘘。」
「ほんの脚を一本もぎ取っただけだよ。」
「信じられない。課長ってひどい人。鬼だわ。」

鬼はどっちだよ。

「でも、僕だって彼からひき殺されそうになったんだ。」
「彼がそんなことするわけないじゃない。課長はなんでもすぐ人のせいにしようとするんだわ。許せない。私、あんなことさせられてすごーく傷ついてるのに、彼にヨシヨシしてもらえないんだったらもう生きていけないわ。彼が、もし帰ってこなかったら私は課長をぜーーーったいに許さないからね。」
「許さないってどうするんだよ。」
「殺すわ。」
「何?」
「悪いのは僕だけじゃないだろう。部長もだろう。」
「その時は部長も許さないわ。部長も殺すの。」
「だから、お願いね。彼を探して。彼をもし見つけられなかったら二人とも殺すわ。」

えらいことになった。
明日から会社に行くつもりだったのに・・・。

朝になった。
休みの旨を伝えるため会社に電話をする。
部長は来ていないらしい。なんでも、今日は休みだという。
おかしい、めったに休むような人ではないのだが。
部長の携帯に電話をする。

「こちらはNTTドコモです。お客様のおかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません。」

一体、部長はどうしたのだろうか。

※画像はこちらからお借りしました