キーワードによるSEOが時代遅れになりつつある理由とは

SEO

新規の案件が始まるときに「まずはキーワードの分析からお願いします」と言われることがよくある。
そう言われると少しもやっとするのである。
久々にSEOのブログを書くのだが、そのモヤッとする気持ちについて徒然につづってみたいとおもったわけなのである。

SEOというと狙っているキーワードを上位表示させる技術であると思っている人が未だにとても多い。
これ自体は間違いではないのだが、SEOの一部分に過ぎないのである。
SEOとは検索エンジンを通じて、自分のWebサイトに来てほしい人を集めてくる技術である。
確かに検索数が多いキーワードで検索上位に表示されれば多くの人の目に触れるので、多くの人を集めることはできる。しかし、来て欲しい人とは誰なのか?という視点がキーワードのSEOには欠けている、あるいは不十分なことが多いのである。

まずは「誰に来てほしいのか?」について十分な考察を行うべきで、キーワードの選定はその後の話であるべきなのだ。
そして、来てほしい人がいるにも関わらず、その人を狙う明示的なキーワードがない場合が問題になってくる。今までのSEOであれば「このテーマはキーワードがないからSEOで集客するのは無理だ」という結論になりがちであった。

しかし、来てほしい人がいるならばそのテーマで検索流入経由の集客を考えるべきなのである。
現在のGoogleは単にキーワード、言い換えれば文字の並びをページの中から探してくるわけではない。
確かに検索キーワードと合致する文字の並びを探しはするのだが、加えて更に高度な判別を行なっている。それはできる限り「検索意図」に合うページを探すということである。

例えばモルディブの水上ヴィラという宿泊施設は有名だが、「モルディブ」「水上ヴィラ(あるいは水上コテージ)」これら重要なキーワードを思いつかなくても「南国の海の上に建っているホテル」というフレーズから頭の中に思い描いている内容を推測して、検索結果に表示してくれるのである。

あとはこんな検索結果もある。

北川景子

「daigoの奥さん」

と検索した場合、「南国の海に建っているホテル」という前述の検索と異なり、その答えは一意に定まる(唯一の答えがある)場合はこのようにナレッジパネルが表示される。この場合唯一の答えは「北川景子」である。

これらはGoogleが検索意図を的確に判断し、検索結果に表示している例である。
検索キーワードがtitleに含まれず、ページ内の重要なトピックとして扱われていなくてもGoogleはこのように的確に検索結果を返すことがあるのだ。

キーワードありきで考えるのではなく

  1. 検索ユーザーはどんな情報が欲しいと考えるか?
  2. その情報を取得したいと考えたユーザーはどんなキーワードで検索するか?

で考えるべきなのである。
キーワードプランナーでは検索数がほとんどなくても、集客できるケースもある。2.で顕在的キーワードが見つからなくても、1.を満たすのであれば情報を作るべきなのだ。

また、Google Discoverという検索ではないGoogleからの流入経路もある。
Google Discoverは検索によらずその人の興味、関心に基づいて情報を表示する仕組みである。爆発的な集客をもたらす。
これはGoogle Discoverの集客力を示す一例である。

キーワード検索によらず1日数万人のアクセスを集めていることがわかる。
Google Discoverもキーワード検索ではない。

今までのユーザー行動に基づき「こんな情報が欲しいんじゃないですか?」とGoogleが判断してGoogle Discoverに表示させてくれるわけだ。
私はGoogle Discoverを狙うのが好きなのだが、Google Discoverでの露出のコツは「何をテーマにするか?」「何を書いたら面白いと思ってもらえるか?」である。キーワードは一切関係がない。

そしてもう一つ重要なことがら、それはエンティティである。
エンティティとは言葉で言い表すことができる一意のなにかの集まりのことだ。

例えば「社員」というエンティティには、山田さん、佐藤さん、菱沼さんなどの個々の要素がある。
「駅」には東京駅、新大阪駅、土合駅など様々な要素がある。
「部品」であれば、ギアユニット、液晶パネル、PLLモジュールなど

このように形があるものもあれば、形のないエンティティもある。

「教科」というエンティティには英語、現代文、数学ⅠA、情報技術基礎といった要素がある。
「映画」であれば、タイタニック、となりのトトロ、ハリー・ポッターと賢者の石、紅い眼鏡などなど。
「歴史上の出来事」という本能寺の変、蒙古襲来、大化の改新、加波山事件などなど。

エンティティとは具体的、抽象的に指し示すことができるなにかの集まりのことなのだ。

Googleはこのエンティティを識別する能力を飛躍的に高めている。
「ワンピース」という言葉であれば、婦人服のワンピースと漫画のワンピースは別のエンティティである。このくらいのことはごくごく当たり前にGoogleは識別できている。

AIの能力の急速な進化もあり、これからはキーワードではなくエンティティも同じく考慮すべき時代になったと考えるわけである。

「法隆寺」というキーワードを例に考えてみたい。

A:◯◯は聖徳宗の総本山
B:◯◯は7世紀に創建された世界最古の建造物
C:奈良の修学旅行の定番スポット◯◯
D:◯◯には五重の塔がある

AとBは法隆寺と一意に定まる、C,Dは法隆寺と一意には定まらなくても重要要素である。
A,Dは寺、Bは建物、Cは観光スポットといったエンティティであることをこれらの文章からGoogleが判断できる可能性がある。
このように単に「法隆寺」というキーワードだけを考えるのではなく、法隆寺を包含する様々なエンティティを考えてコンテンツを作ることで、様々な検索結果表示における露出を図ることが可能になる。

近年共起語を用いたSEOが流行しているが、この考え方そのものはコンテンツのプランニングとして悪いものではないと私は考えている。
共起語(まあ、共起語に限らないのだが)は全てなにかのエンティティである。
そのため、共起語を単に埋め込むのではなく、ターゲットとなるキーワードを説明するための要素であると考えれば、よりキーワードについて詳しいコンテンツとGoogleは判断できる。また他のキーワード、例えば「奈良+旅行+ホニャララ」といった検索でも検索結果に露出する可能性が生まれる。

これからGoogleのAIが生成するSGEのクリックが増えてくると、エンティティを考慮する重要性はますます高くなるだろう。
キーワードからエンティティへ徐々にSEOの主戦場は移っていくのではないか?と思うわけである。

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