WPX Speedと従来のWPXの速度比較・移行の注意点

WPX Speedロゴ ITがらみ

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私はサーバーはwpXというサーバーを使っていた。
今回は、wpXの高速な新バージョンに切り替えてみたので、新旧の速度差の実レポート、及び実際に移行してハマった点についてまとめてみるのである。

近年のWordpress高速化技術の進歩について

高速動作において定評があるエックスサーバー株式会社が運用している、Wordpress専用サーバーである。
wpXのサービスが開始した当初としては非常に高速なサーバーとしての評価を受けてきた。

とはいえ、近年この速度の優位性はあまりなくなった。

プライム・ストラテジー株式会社の開発する、高速なWordpressの実行環境「KUSANAGI」は非常に広く使われている。
また状況を大きく変えつつあるのが、Apacheよりも高速な動作で知られているnginxよりも更に高速なWebサーバーLitespeedだ。
KUSANAGIは劇的に高速化を可能にするサーバー環境であるのだが、少々難しい部分があった(まあ、今は普通に使える)。あと、Wordpressに特化しているので他の独自開発のシステムは動かない。

LitespeedはApacheの互換性があり、独自開発のシステムを含めて高速な動作が期待できる。
しかし、Litespeedは大手ホスティング会社での採用がなかったのがネックだった。
この状況が変わったのが2019年9月にロリポップ(GMOペパポ株式会社)によるハイスピードプランでの採用である。

私は実際にカゴヤ・ジャパンの提供するKUSANAGI
と、ロリポップのハイスピードプランを実際に試してみたのである。
いずれも腰が抜けるほどの高速化を実現したのである。

本当に驚きであった。
カゴヤ・ジャパンのKUSANAGIのサービスはドメインがひとつだけしか設定できないので、ロリポップへの移行を真面目に考えたぐらいの速度差である。
実際にどれだけ速くなったか?については、ロリポップのハイスピードプランへの移行のレポートにまとめたのでご覧頂きたい。

従来のwpXサーバーからの移行結果

そんな2019年9月、wpXの超高速レンタルサーバーサービス「wpX」がリリースされた。
従来のwpXとの違いは、以下の通り。

  • SSDがSATAタイプからより高速なNVMeになったこと、これによりデータの読み込み速度が16倍になった
  • アクセスが集中したときに自動的に上位プランに変更が可能
  • 普通の共用サーバーと異なり、アカウントごとにCPUやメモリを確保。同一サーバー内にある他人のWebサイトのアクセスが集中した場合に遅くなる。という影響を受けなくなった。

正直、私の運営しているWebサイトはたいした人気ではない。そのため速度アップの見込める要因はほとんどSSDのグレードアップだけである。これでどれくらいのものかなあ・・・?というところであった。

従来のwpXからの簡単移行ツールが、2019年12月に用意されるというので、それを待って新サーバーに移行して評価してみようと思ったのである。
※とはいえ、簡単移行ツールが用意されたものの、なかなか時間がなくてやっていなかった。

重い腰をようやく上げ、やってみたのである。おすすめ!というW2のプランに移行してみたわけだ。もともとのwpXレンタルサーバーのだいたい2倍の価格である。

wpx Speedの値段3プラン

速度計測として有名なふたつのツールを使用して速度を比較した結果である。
GTmetrixは高速化のための非常に細かいアドバイスをしてくれるツールである。
もうひとつは一番有名なGoogleが提供するPageSpeed Insightsである。

計測結果は測定するたびに結構ブレるので、3回それぞれ計測して平均で算出した。その結果は・・・

  • GTmetrix
    モバイル 8.5秒 ⇒ 7.2秒(約18.1%短縮)
    パソコン 7.2秒 ⇒ 5.1秒(約41.1%短縮)
    まあまあ、速くなったという感じである。
    ※とはいえ、PageSpeedとYSlowの指標にはほぼ変化がなく、むしろ誤差の範囲だがわずかに悪化しているのが気になるところ。
  • PageSpeed Insights
  • モバイル 38.3点 ⇒ 36.0点(2.3%悪化)
    パソコン 70.0点 ⇒ 65.3点(4.7点悪化)
    誤差の範囲内なのだがむしろ得点が下がっているのである。

WPXサーバーとWPX Speedの速度比較

結論を言えばほぼ効果なし。という感じである。
実に残念である。

移行の注意点

ここまで読んで移行しようという気がなくなった人がほとんどだろうが、一応書いておくのである。
移行そのもの手順は割と難しいが、別のサーバーのWordpressから移すことを考えればかなり楽ではある。

ざっくり手順をまとめておくとこんな感じ。

  1. wpXのコントロールパネル上で契約移行のボタンを押す。そうすると、現サーバーの残月数に応じた月額相当のクーポンがもらえる。
    ※1ヶ月未満の場合は、1ヶ月分
  2. サーバーの追加の申込みを行う
  3. 新サーバーにドメインを設定する
  4. 旧サーバーから新サーバーへデータをコピー
    ※ここでツールが活躍する
  5. 新サーバーの動作確認
    ※この段階ではまだDNSが切り替わっていないので、パソコンの中にあるhostsファイルを修正して、当該ドメインにアクセスした際に、新サーバーのIPアドレスを見にいくようにする。
  6. DNSを切り替える
  7. 旧サーバーのドメイン設定を削除

詳しくは公式ドキュメントに書いてある。
wpXクラウド・wpXレンタルサーバーからの移転
この通りである。

サーバーの切り替え作業はかなり緊張するものであるが、恐れる必要はない。
6.のDNSの切り替えまではたとえ間違ってしまっても問題ない。

DNSの浸透の問題とかあって一時的に不安定になることもあったりすることもない。同じDNSを使っているからこのあたりは安心だ。

私がハマったところ

  • 2.の箇所:
    サーバーの追加申し込みをしてから、サーバーが使用できるようになった。という通知のメールがなかなか届かない。
    普通、この手の申込をしたら一瞬でメールが届きそうなものなのだが、コロナウイルスの影響で作業する人が足りないのか、翌日の昼ぐらいまでかかった。
  • 3.の箇所
    新サーバーへの操作がコントロールパネルのどこにもないぞ!と焦る。
    これは画面最上部のサーバーID:というところのプルダウンを変更することで新しいサーバーの画面に切り替わるのである。意外に気が付かない・・・。
  • 4.の箇所
    移行処理を始めると「移行ステータス」が「待機中0%」という表示が出る。

    移行処理が完了すると、データ移転完了の表示と移転完了日時が表示されます。

    と説明には書かれているのでそのまま待っている。しかし、いつまでたっても待機中のままである。「うわ、これ死んでるんじゃね?」と操作があまりにも簡単なので逆に焦る。1時間経っても0%のままである。
    実は待機中といいながら処理は進んでいてひっそり終わっていたりするのである。画面をリロードしてみると終わっていたのだ。
    そこそこ画像などあっても20分ぐらいで終わってしまうのである。
    さすが同じサーバー業者間の移行ツールである。速さが素晴らしい。でも、この画面は進捗をちゃんと表示するか、終了したらメールで知らせるかしてほしいところである。
    ※ちなみにこの画面は閉じてしまっても大丈夫。Wordpress簡単移行のメニューをクリックすると、この移行ステータスの画面に戻ってくる。

  • 4.の箇所
    設定済みのWordpressの一覧を見ると、移行が終わっているにもかかわらず、一覧に表示されないドメインがある。
    なんで?とこれまた結構焦る。データ移転完了の画面を表示して「内容を確認」のボタンをクリックして初めて表示されるのである。
  • メール設定は移行されない
    これ、意外な盲点。
    同じサーバー業者なのでこのあたりツールで自動的にやってくれるものかと思っていたのだが、そんな甘い話はさすがにないのである。

終わりに

ちょっと残念な期待はずれの結果であったが、こういう結果が得られたということも事実なので、是非参考にしてほしいところである。

特にwpXサーバーからwpX Speedに移行しなければと焦っている人には有用な情報だと思う。

「あ、別にやらなくてもいいんだ」

ということがわかればそれだけでも十分ではないかと。

 

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