ざるそば

そば屋でざるそばを頼んだのである。
関東人の例外にもれず、そばが好きなのである。
特にざるそばが好きだ。

ざるそばが運ばれてきた直後に不幸な欧米人と思える男性が店に入ってきた。

彼は身振り手振りで、

「あれと同じもの下さい」

って注文をしたのである。
自分は食べずマンガ本をひたすら読んでいた。

彼の注文のざるそばが出来上がってきた。
わざと、自分はそばを食べずにそれとなく観察していた。
彼は二、三分程戸惑っていたがあきらめたらしく、やはり身振り手振りで、

「フォークを下さい」

って頼んだようだ。

フォークがきて、それでも自分が食べないでいると、麺は麺だけで食べ、汁は汁だけで飲んだりし始めた。汁を口に含んだときは「ショッパイ」という顔をしていたのである。

「日本人はなんて塩辛いスープを飲むんだろう」

って思ったに違いない。
彼が苦労しながら半分ほど食べ終わった頃、おもむろにざるそばを汁にひたして食う。

「ああ、そうするんだ!」

って彼の頭の上にライトが灯ったような一瞬錯覚を覚えた。
で、自分はわずか3分ほどでそばを食い終わって店を出たのである。

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