SEOのKPI設定が難しい理由・またどう設定するべきか

KPI SEO

SEOのKPIはどうやって設定すればいいのか?
という質問はコンサルに入ると必ずいただく質問である。
実はこれはかなり難しい質問である。

KPIの設定はなぜ難しいのか?そして、どうやって設定すればいいのか?について答えることは多くの方にとって役に立つはずなので、テーマとして取り上げてみたいと思うのである。

SEOのKPI設定が難しい理由

リスティングのKPIに比べて、SEOのKPIは難しい。
ではリスティングのKPIがSEOに比べて容易な理由はなんだろうか?それは以下の4つである。

  1. リスティングはそもそも〇〇を売るという明確な目的がある
  2. 広告費がどれだけかかったかが明確
  3. 売上がどれだけ上がったかという費用対効果が明確
  4. 実行した内容と結果との因果関係が明確

SEOはその逆だと考えるとわかりやすい。

  1. SEOにはそもそも明確な目的がないことが多い
  2. 社内稼働で実施した場合、人件費がかかっているがどれだけの人件費がかかったかは明確にしにくい
  3. 検索流入が増えたとしても、そこからどれだけ売上が上がったかは、わからなくはないのだが不明確。特にコラム記事などでは費用対効果を算出するのは困難
  4. 実行したSEO施策と結果との因果関係が不明確、というよりむしろ分からないことがほとんど

というわけである。

そもそもSEOはKPIになじみにくい

KPIというものはそもそも何のために設定するのか?

に立ち返って考える必要がある。
KPIと目標に対しての達成度合いを示す指標である。これは努力や工夫によって数値を改善、上昇できなければならない。いくら努力しても、改善、上昇できない指標を設定しても意味がないのである。

SEOはこれをやったから効果があったということは大抵わからない。
その逆にこれをやったから駄目になったということも大抵わからない。

また、実施した対策の効果が出るまでの期間が長いので、検索流入が増えたとか、検索順位が上がったとかといういいことがあったとしても、どの対策が効果があったのか?ということは大抵はわからない。
また、何もしていなかったとしてもGoogle自体の評価指標が変わって、検索流入や検索順位が大きく改善することもある。

行動と結果が単純に結びつかないのがSEOである。
行動による改善数値を把握する方法がKPIなので、SEOはKPIという考え方になじみにくいのである。

しかしKPIは必要である

なじみにくいとは書いたのだが、KPIを設定が不可能ということではまったくないし、KPIは設定しなければならない。

SEOを業務として行うならば、直接費用が発生しなかったとしても人件費は必ずかかっている。
言い換えれば、SEOをやる時間を他のことに振り向ければ、収益が上がったかもしれないわけである。その収益を失っているわけなので、やはり費用対効果は考えなければならない。
費用対効果を改善するためにはKPIがどうしても必要になってくる。

では何をKPIとすべきなのだろうか?

SEOの代表的なKPI

1.自然検索経由の想定収益

これが最も重要なKPIである。
Webマーケティングにはいろいろな人が関わってくる。例えば経営者であったり、営業部門の担当者、経理担当者、デザイナー、コーダーなど様々である。これらの様々な人々の利害は常に一致しないし、共通の視点を持つのは難しい。

その中で唯一共通の利害になりうるのが「お金」である。

実際にいくら儲かっているのか?は関わる全ての人にとって唯一共通の利害であり、またビジネス目標に直結する最重要の指標である。

Google Analyticsでは利益である目標値を設定する機能がある。
1コンバージョンあたり平均いくらの収益が見込めるか?という値を設定しておくと、SEOによっていくら儲かったのか?を金額で測ることができる。
まだ、目標値を設定していないのであれば、以下に式を掲載したので計算して是非設定してみていただきたい。
この式はBtoBのビジネスでは一般的な、問合せがあったらそこから商談に行き、契約に至るという営業フローを想定している。

目標値 = ①問合せから商談に行ける確率 × ②商談成約率 × ③平均単価

例を挙げてみる。

①Webサイトに問合せが10件あると、そのうち3件は商談に行くことができる
②過去の経験上平均すると10回商談すると2回の確率で成約してしている
③1件あたり成約すると平均100万円の商品を売っている

この場合であれば、30%×20%×100万円となり目標値は6万円となる。
1問合せあたりの売上換算価値は6万円である。
SEOによって月間に20回問合せあったとすると、目標値は120万円となり、120万円相当の売上に貢献したことがわかる。

また、この自然検索経由の収益であるが、直接効果と間接効果のふたつがある。
コラムによるSEO集客は直接コンバージョンに結びつかないことがほとんどだ。

しかし、コラムの存在によって初めて自分のWebサイトの存在を知り、その後コンバージョンすることが非常に多い。
これは間接効果であるが、これも把握する必要がある。

下の画像はGoogle Analyticsのコンバージョン経路の一例である。

コンバージョン経路

高価な商品やサービスになると、何度もWebサイトへ訪問を繰り返し、やっとコンバージョンに至るということがよくある。
このユーザーの場合、約150回の来訪を経て初めてコンバージョンに至っている。その初回がオーガニック検索となっており(実際は90日しか計測できないので違う可能性はあるが)、最初の取っ掛かりはSEOであったことがわかる。

SEOをやっていなかったとすれば、このユーザーはコンバージョンしなかった可能性が高いのである。間接効果も含めて計測する必要があるのだ。

間接効果をどうKPIに組み込むかだが、アシストコンバージョンのMCFチャネルグループの「アシストされたコンバージョンの値」を見れば把握することができる。

※厳密に言うとブランド名や会社名で検索しての流入はこれに含んではいけないのだが、そこを厳密に計算するのは困難なので考えないことにする。

2.検索流入数

SEOによる流入のPV数・セッション数のいずれかあるいは両方を使う。
流入が増えれば当然売上も増えるであろうという理屈である。

実は一概にそうとも言えないのだが、このKPIは非常にわかりやすいため実用的で一般的に最も用いられているものである。
Google Analyticsといったアクセス解析を使ってもいいし、Google Search Consoleを使ってもよい。

3.特定のキーワードの検索順位

これはあまりおすすめできない。
狙っているキーワードがあったとして、そのキーワードの検索順位によって流入数が大きく変わるとは限らないからである。
また、KPIの考え方として改善する方法がある指標を採用する必要がある。
しかし、検索順位は努力によって上げられるものでもないので、KPIとしてはあまり適切ではないのである。

最後に

KPIとして2つを挙げてみた。

  1. ビジネスの最もゴールに近いところにある目標値
  2. ビジネスの最もゴールに遠いところにある流入数

この両極端の指標、つまり入口と出口の部分は必ず把握する必要がある。
それに何をプラスするか?1.と2.の間に位置するものとはなにか?それはサイトの性質や造りによって異なってくる。

とはいえ、最初から難しいKPIを考える必要はない。
最初はこの程度で始めておき、必要に応じて細かくしていけばいいのである。

一番いけないのは、使いみちがないKPIの分析のために時間を掛けることである。
定例の会議資料として使うから集計しないといけない・・・。といった指標は不毛である。

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